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マアル

40年以上前のお話。
石神井の生家の近くに「マアル」がいた。

「マアル」って言うのは犬の名前だ。
おじいさんと2人で暮らしていた。
名前から受ける印象と同じで
人柄ならぬイヌ柄がまあるかった。

こう言ってはなんだが、
マアルとおじいさんの家は
当時の我が家に負けない程のボロ屋で
掘っ建て小屋のような感じだった。

それでも私達姉弟は
マアルとおじいさんが大好きで
石神井公園に遊びに行く途中、この家の前を通ると
かならず「まーあーる、まーあーる」と大声で呼んでいた。
すると気の良いマアルが、しっぽをフリフリ嬉しそうに出てくる。
しばらくするとおじいさんも出てきて、
時々敷地内に入れてもらって一緒に遊んだ。
そして、おじいさんは時々私達にちり紙に包んだお菓子をくれた。
でも、いつも私達はこのお菓子を
自分で食べずにマアルにあげてしまった。
それが楽しかった。

マアルは茶色い大型犬で、雑種だったような気がする。
どちらかと言えば洋犬っぽい感じで
おじいさんと同じように年を取っていた。

私が小学校に上がって、毎日のように石神井公園に行かなくなってから
マアルとおじいさんの家の前をあまり通らなくなった。
そして、おじいさんとマアルはいつの間にかいなくなった。

今も実家に帰って、もうとっくに無くなった
マアルとおじいさんが住んでいたところを通ると
必ず思い出す。
おじいさんは優しかった。
マアルも優しかった。
私はおじいさんの名前を知らなかった。
ひょっとしたら私の両親が覚えているかも知れない。
でも別に聞こうとは思わない。
名前なんかどうでも良い。
名前なんか知らなくても
一緒に遊んだマアルとおじいさんのことは
40年たっても忘れていない。
多分死ぬまで忘れない。

一期一会という言葉があるけれど
時々、一生忘れないような出会いがある。
ほんの数時間、数日一緒にいただけで
忘れられない人がいる。
そして数十年、人の心に残って
その人の死と共に消えていく。

マアルやおじいさんと一緒に過ごしたのは
期間で言えば2年くらい?だったと思う。
おじいさんもマアルも、まだ小さかった私たちに嫌な顔一つせず
いつ行っても歓迎して遊んでくれた。
今思うと、本当に優しいおじいさんだった。

年齢から考えても
おじいさんは、もうとっくに亡くなっているだろう。
それでも、マアルとおじいさんはどこかで一緒に
あの時と同じように
質素に暮らしているような気がしてならない。













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きもとももこ

Author:きもとももこ
自然の多い西東京で
絵本を作りながら暮らしています。

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