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ネットで結城紬を買う

旺文社の辞書が出来た記念に
着物を買うことにしました。

今年は結婚10周年なので
夫に好きな着物を買って良い、と言われています。
先日プログにのせた大島をまず一枚買って
おおきく盛り上がりましたが
予算が全然余っていたので
思い切って結城紬を買うことに。
以前から欲しかったけれど、なかなか買えなかったのが結城なのです。

いや、買えなかったのではなく、一応安いのは持っています。
結城にもいろいろとレベルがあり
私が持っているのは「はたおり娘」というブランドのもので
これはかなり安価で買えるので、リサイクルショップで衝動買いしてしまいました。
これはこれで結構気に入っていますが
もうちょっと良いものが欲しかったのです。
でも、いざ買うとなると緊張します。

結城紬は大島よりもずっと高価なので
なかなか思い切って買う事が出来ません。
高価、と言うか人気があるのでしょうね。
大島は運が良ければネットオークションで
7マルキ、9マルキのそこそこ良い柄のものが
びっくりするくらい安価で買うことが出来るのですが
結城はちょっと上質なものだとオークションでさえ10万は軽く超えます。

以前リサイクルの結城紬をデパートで見て
欲しくて、さんざん悩んだことがあるのですが
リサイクルなのにすごい金額で
結局買う事が出来ませんでした。
だって53万円もしたんだもの!

このとき気に入ったのが100亀甲、
有色でしかも多色でした。
さらに総柄。
糸は手紡ぎで地機で織った物。
羽織らせてもらってあんまり綺麗なので(着物が)
舞い上がりました。

つくづく自分の貧乏性には悲しくなるのですが
着物が好きで、それがどれだけ良いものか判っていても
高額だと、たとえ自分に似合っていても
ぱっと買う事が出来ません。
これはもう貧乏人の悲しい性です。

でもその着物がずっと心の中に残っていて
似たようなものはないかしら、と探していました。

大島紬は証紙がわかりやすく
パンチで穴を開けてあるので
本物だとか偽物だとか考えなくても
証紙がきちんとついているものならば
大抵感じの良い、つるりとした着心地のものを手に入れることが出来ます。
今までネットで何回も大島を買っていますが
下調べをして買えば、まず失敗はありません。
証紙の作り手の名前と
反物の端に織り込んである○○織物というのが
ほぼ一致するので
とてもわかりやすいのです。
なのでいつも大島は必ずネットで買います。
その方が絶対安く買えますから。

でも結城は証紙が「ただ張ってあるだけ」なので
違うところから持ってきて張っても分からないのです。
ネットオークションに商品を出している人たちの中には
悪質な人もいますのでので、信用は出来ません。
うっかり証紙だけを頼りにネットオークションなんかで結城を買おうものなら
偽物をつかまされる可能性はすごく高いと思っていました。
結城は触ってから買わないと。

結城紬には重要文化財指定の証紙というのがあって
「結」と言う字が書いてあるものが「本物」と言われています。
一応結城の証紙のことや良い結城ってどんなものなのか
簡単な知識を身につけようと調べておきました。
が、結局この「結」印の証紙がついていないものが全てまがい物なのではなく
逆になくても良いものはあるというのが分かりました。
この証紙がつく反物にはいくつかの条件があり
手紡ぎの真綿糸を使うこと、地機で織り上げること、
括りという方法で糸を染めてあること、等があげられています。
私が欲しい淡い色の着物の場合、
ほとんどが「刷り込み」と言う染色法のようで
この条件には当てはまらないようです。
でも、欲しいのは淡い色の物なのです。
稀に淡い色を括りで染めた物もあるようですが
100亀甲の総絣多色の物をこの条件で探すと
とてもじゃないけれど私には買えない値段です。

結城の裂に対して知識がない人間にとって、
この証紙はの一つの基準にはなります。
この証紙があろうが無かろうが風合が良ければ良いのですが、
「どのようなものが良いものなのか」を正しく判断する自信はありません。
なので証紙なしの物を買うのは勇気がいりますが
高いものは買えないので証紙なしで良い物を探すことにしました。

私が欲しかったのは
触れたときににふわっと軽い感じのものです。
まだ着物が好きになり始めたばかりの頃、とあるリサイクルショップで
「良かったらどうぞ」とちょっとだけ触らせてもらった
300万円の結城がありました。
まだ糊を落としていない反物でしたが
びっくりするぐらい軽く、
空気の中を泳ぐような感じでひらひらとしていたのを覚えています。


結城紬をリサイクル店で見つけては見せてもらっていましたが
気に入った色がなかなかないのです。
明るい色がない・・・。
無地や縞、飛び柄は結構あるのですが
総柄となると本当に少ないのです。
ほとんど黒や紺、茶色です。

実店舗で探しても全然無いので
ネットでも探してみました。
が、ネットでさえなかなか見つからないのです。
新品ならありますが腰が抜けそうなくらい高い!
100亀甲の総柄は本当に高価なのでした。

あんまり高いので、探すのを諦めてしばらく忘れていました。
だってこれは私の世界じゃないもの。


でも出会いはやってきました。

見つけたのは私がよく着物を買う楽天市場の中のお店だったので
思い切って買ってみる事にしました。
ここのお店は返品可能なので
問題があっても大丈夫、という安心感があります。
(でも今まで返品したことはありません)
こう言っては何ですが、今回は「返品覚悟」で買いました。
お店には申し訳ないのだけれど、こうじゃなくちゃ高額な結城はネットでは絶対買えません。
リサイクルのものですが、一応プロがこれは「地機」で織ったもの、糸は手紡ぎと太鼓判を押しています。
証紙はないけれど、「結」印の物だとのこと。
ここのお店は今まで何度か買い物をしてみて、良いものを売っているという印象があります。
人をだますようなお店でもないのですが、実物を見るまで安心はできません。
結城をネットで買うのは非常に危険だと常々思っていましたから。

ドキドキしながら「ポチッ」と購入ボタンを押して
翌々日に着物が届いたときは
かなり興奮していました。
はやる気持ちを抑えながら丁寧に梱包を解きます。

一目見た着物は正直「あれ?イメージが違う。」でした。
最初に見た画像よりも色が濃く、落ち着いた6色が使われて
花や雲や亀甲が模様となって織り込まれています。
しかも着物が何となく鈍い光を放っています。
こんな感じ。
yuuki4.jpg

私が今まで見てきた地機の結城よりも照りがあるように見えます。
それに裂地にでこぼこ感が無いような・・・。
「これって手紡ぎの糸じゃないんじゃないの?」と疑い、すぐに返品を考えました。
そう考えた理由は
以前知り合いに結城紬の見分け方を教えてもらい、
良いのはテカテカしていなくて
でこぼこがある、と聞いていたからです。
私の結城に対する知識は浅く、人に言われたことを
そのまま鵜呑みにしていました。

早速、夫に報告。
ですが、夫が着物を見て言った一言は、
「これさあ、すごく良いと思うんだけれど。」でした。
私は、結城紬は真綿を使ってるからこんな風に光ってないと思う、
これはきっと生糸を使っている、と憤慨して言いました。
夫は
「良い絹って光ってるよ。紬は屑繭を使うって言うから光らないのかなあ?
でも結城紬って高級品なんでしょう?じゃあ、光ってるの当たり前なんじゃないの?
光ってるって言ったってぴかぴかじゃないし。これ良い絹のテカリだよ。」と言います。

想像よりもちょっと地味なのも気になって
返品しようかと悩む私に、夫は
「そういう質が良くて落ち着いた着物を、色っぽく着こなすのが着物を着る醍醐味なんじゃないの?
前に買ったインド更紗の帯なんか良く合うよ。」と言って
接客上手の店員のように勧めてきます。

うーん。そうか。客観的に見るとすごく良いのか。
夫は着物には全然詳しくないのですが
裂や布には結構詳しいのです。
表具の仕事をしているから、沢山の手織り布を見ていて
あちこちで良い物を探しては買ってきます。

手持ちのルーペ(50倍)で丹念に光っている糸を調べてみました。
ちょうど家に「結」印の結城を使ったお財布があったので、それと
いわゆる重要文化財ではない結城「はたおり娘」も出してきて
交互に見比べてみました。

なるほど、夫の言うとおりで
糸一本一本に凹凸があり
これはいわゆる真綿糸だな、と言うのが解りました。
はたおり娘と比べると全然違います。
はたおり娘は綺麗に整列した織り目ですが
今回買った結城はあちこちで糸が太くなったり細くなったり。
生糸のように見えるけれどそれだけ細く丁寧に紡いであるようです。
よーく見ると必ずどこかに綿っぽいのが見られます。
時間をかけて見てみまましたが
生糸は一本もありません。

しかも触ってみると何というかパサッとした感じがあり
今まで手にした着物とは様子が違います。
軽く、羽衣のようなのです。
私が以前手にした結城に近い
空気の中で泳ぐようなあの質感です。
はたおり娘にはない感触。
大島とも全然違う。

調べてみると
結城紬は着込まれた結果、着物が艶やかになるというのを知りました。
擦れて、真綿がとれて光ってくるのだそうです。
結城紬は3代着られると言いますが
中古品なので、すでに一代分着ているのでしょう。
よく見ると大切に着られていたようですが
使用感があります。
地機で織られたものかどうかは分かりませんが
頭抱えて調べているうちに愛着がわいてきました。
「結」印かどうかなんて結局全然分からないのですが
気に入ったので、そんなことはどうでも良くなって
このまま返品せずに買う事に決めました。


良い真綿糸には照りがあり、
高価なものはしなやかでなめらかだそうです。
細く均一に紡ぐ方が難しく、節がなるべく出ないように一生懸命紡ぐのだとか。
糸の飛び出しや節があまりにも多いものは、下手くそな人が紡いだ糸である可能性もあるようです。
もちろん好みはありますから、それを味と言って好む人もいるでしょうし、
私も決して嫌いではありません。

買ってみて、ネットで結城を手に入れるのも良いかも、と思いました。
ただし返品可のところで買う事が条件です。
返品の時は送料を負担する事になります。
大抵の良心的なお店は通信販売でも返品が可能です。
ノークレームノーリターンで、と言うところでは高いものは買っちゃ駄目。
本物の真綿紬を使っているかどうかについては
糸が細くなればなるほど
亀甲が細かくなればなるほど
肉眼ではわかりにくくなるはずです。
100亀甲でもかなりわかりにくいです。
でも実店舗で買う場合、いくらリサイクルのお店と言っても
何十分もかけてルーペでチェックするのは失礼千万。
家でやらないとゆっくり出来ない事です。
購入して家に帰ってから調べて、「これは手紡ぎの糸じゃない」と
お店に持って行くのは恥ずかしい。
でもネットであれば、出来なくはないのです。
売る方もその点は覚悟しているはずですから。
しかも手持ちの帯で帯合わせまで考えられます!

そう考えるとネットで買って家でゆっくりチェックして
気に入ったら買うのも良いかなあと思いました。
もちろんそれを許してくれそうな業者さんを選ばないと駄目ですが。


夫が合うと言った茜色のインド更紗を合わせると
とても良い感じに収まるこの着物がすっかり気に入って
早く洗い張りに出して仕立て直したいなあと
撫でまわしています。
多分自分の予算で購入できる範囲内では
まあまあ、良いものが買えたのではないかと思っています。
初めての真綿だけを使った結城紬。
いろんな思いと一緒に、大切に着ようと思います。



インド更紗との組み合わせ。
これはまだ帯にはなっていません。
いい加減に仕立てないと・・・。
でも何せ200年前のものなので穴だらけで、布の取り合わせが難しいのです。
この布も夫に勧められて買ってもらったものです。
最初に見たときは、「こんなに穴だらけで帯に出来るのか」と不安でした。
穴は自分でふさいでいます。
結城1


次に合わせてみたのは栗山紅型。
娘を産んだ後、その名前にちなんで買った帯です。
これもいいかな・・・。
帯揚げがちょっと強すぎですね。
写真だと黒く出てますが、紺色です。
結城3


こっちは相良刺繍の帯。
ちょっと古いのですが、刺繍が細かくて気に入っています。
夫はこの組み合わせは気に入らないといいますが・・・。
どうでしょう。。。
変でしょうか?
結城2


こうして考えると
「着物を選ぶ帯」が結構合いそうです。
この3本の帯は個性が強くて
どれもすごく着物に合わせにくいのです。

見たとたん気に入らなかったこの着物ですが、
きっとそれも良い思い出となって
私の着物としての役目を終て、3代目の娘に譲る時に
入手時の逸話として娘に語るのだろうなあと思います。

その時はまだまだず~っと先でしょうが
今から少し楽しみに思うのでした。

この結城の着物を買ったのがすごく嬉しくて
とても長い文章になってしまいました。
















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プロフィール

きもとももこ

Author:きもとももこ
自然の多い西東京で
絵本を作りながら暮らしています。

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